経営者に「休み」はあるのか? 仕事と遊びの、曖昧な境界線
働いていたような、遊んでいたような——。焚き火に人が「勝手に」集まる週末は、休みなのか仕事なのか。制度やルールの中に置かれると、何もしていなくても疲れてしまう。3人が自分の週末を棚卸ししながら、「休み」の輪郭を解きほぐします。
Take One, Please
🎁 よかったら、持っていってください
番組で使っている考え方の道具を、そのまま置いておきます。登録は要りません。想定外の使われ方(誤配)が生まれたら、それがいちばん嬉しい。
※ 上の2つは、実際に走らせた出力例をそのまま載せています。読んでから決めてください。
Contents
テーマ目次
Humanities for You
あなたに効く、人文知
目次を見ても選べない方へ。7つの質問に答えるだけで、あなたに効くエピソード・一冊の本・相談するなら誰かが、まとめて見つかります。
The Three
3人のキャラクター
乘冨賢蔵
福岡・水門メーカー代表
# 自由人 / 遊びの実装者
「〜だよね」「〜じゃない?」という柔らかい口調で、管理やKPI偏重に懐疑的。理系(制御工学)出身で、人間がロジックを書かずともデータから自ら学ぶというAIの発想に驚きと憧れを持つ。水門という「管理するもの」を作りながら、会社のビジョンは「オープン・ザ・ゲート」——水門メーカーなのに開けるのがビジョン。大学時代はthe pillowsを布教しすぎてあだ名が「ぴろぞー」になった。
エピソード
#1
ドイツの展示会で荷物が届かない絶望的なピンチに、胸ポケットから秋刀魚の食品サンプルをスッと取り出して謎のパフォーマンスをやり切り、スイスのバイヤーと契約を勝ち取った。
#2
飲み会がない日は自炊率100%。効率や美味しさより「どうやったら面白くなるか」を優先して料理を楽しむ。「大人になるとは、自分が自分の世話係になること」という本の一節に感銘を受け、料理を自分自身と向き合うセルフケアの時間として大切にしている。
#3
大学時代はthe pillowsを布教しまくった結果、あだ名が「ぴろぞー」に。初めて買ったCDは「めざせポケモンマスター」。
#4
映画監督の岩井俊二さんや文化人類学者との対談で、柳川の「水をゆっくり流して使う」堀割システムが未来の世界の水問題の解になり得ると指摘された。足元の当たり前の「自然との営み」が世界レベルで圧倒的に豊かなシステムだったと気づき、感銘を受けた。
田中諒
大阪・難波の包丁店3代目
# 再定義の達人 / レッチリ狂
関西弁×高い熱量×ロジカルな構造化。物事の枠組みを疑い「再定義」することで新しい選択肢を生み出すのが得意。言葉の定義から入り直し、エモさとロジックを掛け合わせる思考スタイル。音楽の話になるとスイッチが入り「あと4時間話せる」と豪語。娘に自分の仕事ぶりを完コピされてショックを受けた。
エピソード
#1
娘がおままごとで「じゃあ私パパね」と言い、パソコンを開くフリをして「ちょっと待って。今仕事してるから、ごめんな」と言い放った。「あ、こう見えてんねや…」
#2
祖父が亡くなった後、包丁のお店に行くと、祖父の思想や頼ってきた人たちの姿が残っていた。「俺が継いでいる限り、おじいちゃんは死なないんだ」と気づいた瞬間、覚悟が決まった。
#3
FM802の無料フェスに実家のFAXから50枚応募して全部外れた少年時代。長期海外帰国後、一番食べたかったのは「王将」。レッチリなら「あと4時間話せる」。
#4
革靴の靴紐がちぎれているのに気づき、修理して靴を磨き直した。タイパや効率が重視される現代で、ただ「物を大切にする時間」「時間そのものと向き合う時間」がとてつもなく幸せで豊かに感じられ、豊かさの本質に触れた。
高田健太
岡山・アパレル会社代表
# 内省のストイック / ガチバックパッカー
落ち着いたトーンで論理的に話す内省的なタイプ。資本主義的思考とポスト資本主義的思考の間で常に葛藤している。読書はポモドーロ・テクニックで6時間ぶっ通し。デジタルデトックスのためにVRゴーグルをかぶって滝を見る。南米でナイフ強盗にタックルした過去を持つ。
エピソード
#1
デジタルデトックスを忘れないよう、スマホのToDoリストに「デジタルデトックスする」と入力。乘冨さんから「デジタルデトックスをデジタルで思い出そうとしてるよ。落語みたい」とツッコまれた。
#2
大学生時代に10ヶ月かけて世界一周。南米で睡眠薬を盛られて道端で寝かされたり、ナイフ強盗にタックルして切り抜けたり。「旅が日常になってしまうから、人生のスパイス程度がいい」。
#3
過去に書いた「忘れたくないことリスト」を読み返してピンとこなくなった時、記憶が薄れたのではなく「自分が成長し、乗り越えた証」なのだと気づき、肯定的に受け入れた。
#4
仕事で生成AIソフトを並行で使い倒した結果、Windows PCが負荷に耐えきれずフリーズ。MacBook Proに買い替えることに。Excel作業がAIで消えていく中、逆に「人と話す(会議する)」ことに仕事のやりがいを見出し始めている。
なぜ本を読むのか
歴史・哲学・人文知——なぜアトツギ3人は、読書にのめり込むのか。「本はそのために読むのか?」という問いから始まった、読書論。
「年下の友達」のように付き合えると書いてある本に惹かれた。前職の造船所でのハードワーク時代、働くことと楽しさの乖離を感じ、哲学書を読み始めた。
「自分たちは何者なのか」を再構築するためのケーススタディとして人文書を読む。通知に邪魔されず自分のペースで咀嚼できる「唯一のメディア」として本を高く評価している。
「純粋な楽しさ」「自分への実装」「経営の教科書」の3目的。読書はポモドーロ・テクニックで6時間ぶっ通し。付箋を貼りやすい紙の本(新書)を好む。
「その本は年下の友達のように付き合えみたいに書いてあったの覚えてて、すごいなと思って。先生みたいに正しいと思い込んでやると重いっていうか……」
「本読んでるとキモくなっていくんだって。1回なんかキモいノリになるみたいな。」
「哲学がなぜ生まれたのかって、そもそも暇になったから生まれたっていうの(が面白い)。」
📚 このテーマで紹介された本
- 思考の整理学(外山滋比古)
- なぜ働いていると本が読めなくなるのか(三宅香帆)
- 読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール)
- 勉強の哲学(千葉雅也)
- 正しい本の読み方(橋爪大三郎)
- 史上最強の哲学入門(飲茶)
- 暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
- キングダム(原泰久・漫画)
後継ぎが人文書を読むのは、既存の枠組みが壊れゆく時代に「自分たちは何者か」をメタ認知するためのケーススタディを探しているからかも?
日本文化の正体とは?
オランダで日本の醤油を模倣するパン屋、名古屋の台湾ラーメンアメリカン、SNSの正しさで殴り合う文化——日本らしさの正体はどこにある?
オランダ出張でバーボン樽で醤油を仕込むパン屋を見て「リミックスは日本特有のものか?」という問いを持った。無塗装のステンレスのように「あるがまま」を残すことが日本らしさかもしれない。
名古屋の「台湾ラーメンアメリカン」みたいな、なんでもありなリミックスに日本文化の面白さを見出す。一方でSNSの「正しさで殴り合う」不寛容さが、余白を奪っていると危惧する。
日本は他文化の出涸らしを受け取り続けた「ガラパゴス」。その空白や無常観に独自の文化が宿る。現代で日本文化を作るには、意図的なキュレーションと守るべき境界線のデザインが必要。
「(原研哉の引用で)全ての文化というのは下にどんどん流れて落ちてきて、最後こう出汁みたいに全ての角が削り落とされたやつだけが日本に最後に渡ってくる。」
「名古屋飯って主役をたくさんごちゃまぜにしちゃうみたいな。(日本文化のリミックス性)」
📚 このテーマで紹介された本
- 日本文化の核心(松岡正剛)
- デザインのデザイン(原研哉)
- 世界地図の読み方(高野孟)
正しさをぶつけ合うSNSの不寛容さが、日本文化の源泉である「誤配」や「余白」を奪ってしまっているのでは?
アイデンティティとブランディング
水門屋を「メタルクリエイター」と言い直す。包丁屋を「食文化・道具文化への貢献」と定義し直す。「自分たちは何者か」を語り直す、3人の方法論。
アイデンティティは固定されたものではなく、過去の歴史を「ストーリーテリング」することで意図的に再定義できる。事実は切り取り方次第——それを「角度を変える」ことが可能性を開く。
自社のルーツや内面からロジカルに発掘・構築するもの。道具屋筋という土地との「縁起(関係性)」から自社を定義した。アイデンティティからノイズを削ぎ落としたものがブランディングである。
アイデンティティは可変的なもの——その時に一番力を入れているものがアイデンティティになる。祖母(90歳で全身ブランドで真っ白)の「美意識とミーハー心」が自社のルーツだと再発見した。
「うちの祖母がすごいおしゃれなおばあちゃんなんですよ。未だに現役で90年、めちゃめちゃおしゃれなおばあちゃんなんですけど(全身ブランドで真っ白)。」
「アイデンティティ・ミーハー。」
「過去の歴史をストーリーテリングすることで、メタルクリエイターってアイデンティティを作った。(事実は)切り取り方次第じゃないですか。」
📚 このテーマで紹介された本
- 私とは何か「個人」から「分人」へ(平野啓一郎)
- 訂正する力/訂正可能性の哲学(東浩紀)
- ブルシット・ジョブ(デヴィッド・グレーバー)
誰も気づいていない過去の「贈与」を掘り起こし、社会に再提示して価値に変えていく行為こそが、ブランディングの正体なのかも?
組織の性質に向き合う
「社長の言葉は校長先生の話で通り抜けていく」——3人のアトツギが、組織という生き物と格闘した4回。
ガチガチのルールや性悪説的管理を嫌い、「遊び」や「余白」を重視。「やりたいを叶える」というバリューを掲げ、外部の目も入れるオープン社員総会を実施している。
組織には「緊張」と「緩和(飲み会や雑談など)」の振り幅が必要で、それが信頼関係を生む。ビジョンという「言葉」を組織のトップに置くことで、摩擦を許容しつつも同じ方向を向ける。
Googleの「20%ルール」のような非効率を許容することがイノベーションに繋がると考える。同質性の高い集団より、多様な価値観がぶつかる「摩擦」がある方が質の高い提案が生まれる。
「社長の言葉って、社員からするともう俺「校長先生の話」だと思ってて……いくらいいことを言ってても通り抜けていくみたいなところあるじゃないですか。」
「信用はリスクがないと思ってお願いすること。信頼というのはリスクがあって、仮にダメだとしてもこの人ならいいみたいな状態で。」
「シカル(叱る)の方がちょっと怖いなって思うんだよな。正論であなたのためを持って叱ってるんだよみたいな感じになる——支配ですよね。」
📚 このテーマで紹介された本
- スマイルズという会社を人類学する
組織には「有事の極度の緊張」と「平時のアホな飲み会」のような大きな振り幅が必要で、それが強い信頼関係を育むのでは?
歴史を知ると、世界が違って見える
全員が「COTEN RADIO(古典ラジオ)」をきっかけに歴史に目覚めた。偉人の失敗、後継者問題、ロングターミズム——歴史を知ると何が変わるのか。
英雄の活躍よりも、人類史の大きな流れや「過去の常識が今と全く違う」という相対化の視点に面白さを感じる。アレクサンドロスのように「血筋を繋がなくても歴史を繋いだ人」に惹かれる。
第一次世界大戦や源頼朝など、複雑なバグが重なって大事件になる過程に面白さを感じる。「ワンピースの頂上決戦は第一次世界大戦の感じがある」。祖父は手塚治虫の小学校の同級生だった。
高杉晋作のように、くすぶっていた人間が最後に爆発するような人間臭いストーリーに勇気をもらう。「途中まで風俗ばっか行ってお金使い込んで……最後急にスパークする」。
「アレクサンドロスとかさ、確かに自分の王国は繋いでないけど歴史は繋いだよね。……自分が成したことが世界に何らかの形で繋がっていってくれた方がいいなって思っちゃう。」
「ワンピース……頂上決戦って結構なんやろな……大事界戦(第一次世界大戦)の感じがあるんですよね。」
「高杉晋作のいいところはなんか途中まで結構くすぶってる感じ。風俗ばっか行ってお金使い込んで……最後急にスパークするっていう(のが好き)。」
📚 このテーマで紹介された本
- サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ)
- ホモ・デウス(ユヴァル・ノア・ハラリ)
- 銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド)
- 火の鳥(手塚治虫・漫画)
- 燃えよ剣(司馬遼太郎)
- 三国志(横山光輝・漫画)
偉人でさえ後継者問題でつまずく歴史を見ると、組織が長く続く秘訣は「カリスマ的な人」ではなく、解釈の余地を残した「言葉やシステム」を頂点に置くことなのでは?
遊びと人間
ホイジンガ・カイヨワの遊びの類型。ミミクリ(模倣)・イリンクス(めまい)・アゴン(競争)・アレア(運)——アトツギたちは何の遊びが得意で、何が苦手か。
仕事の中に遊び心を忍び込ませるのは得意。ドイツの展示会での秋刀魚パフォーマンスがその象徴。「オープン・ザ・ゲート」「ノリノリプロジェクト」——仕事と遊びが融合している。
「仕事の中で遊ぶのは得意だけど、遊びの中で仕事するのは苦手」(ゴルフ接待など)。カイヨワの「ミミクリ(別キャラになりきる)」が苦手。娘に仕事ぶりを完コピされてショック。
仕事と遊びは明確に切り分けるタイプ。VRで滝を見る、ヨガ——目的から完全に解放される「イリンクス」の時間を意図的に作る。ディズニーでミッキーの耳を着けられない(「僕を捨てきれない」)。
「You can cook anything with me…つってこう胸ポケットから秋刀魚を出すみたいなやつをやってて……」
「俺、仕事の中で遊ぶのは得意だけど、遊びの中で仕事すんの苦手ですわ。」
「(ディズニーでミッキーの耳は)僕、捨てきれないです。僕を。」
📚 このテーマで紹介された本
- 遊びと人間(ロジェ・カイヨワ)
- センスの哲学(千葉雅也)
アイデンティティが強すぎる大人は「ミミクリ(別キャラになりきる遊び)」が苦手——それはつまり、アイデンティティとは「自分を手放せないこと」の別名なのかも?
環境はアクションで変えられるのか
自社の水門がウナギの絶滅危惧の一因だった。VRゴーグルで滝を見るデジタルデトックス。「安全第一」という思考停止——環境と人間の関係を問い直した4回。
ウナギが遡上できる水門の自動化プロジェクトを実際に立ち上げた。「安全第一という絶対的なロジックが思考停止を生んでいる」と日本の製造業の構造を批判的に見る。
SNSのアルゴリズム(外部環境)によって人間は均質化され分断される。多様性を守るには受け身にならず、意図的に外部環境と摩擦を起こし自ら環境を選び取る主体性が必要。
ミクロな環境(心身)を整えることを重視。スマホや情報の洪水から意図的に距離を置き、VRで自然動画を見てデジタルデトックスをする——そのデトックスの予定をスマホのToDoに入れる。
「もうなんか50〜60匹ウナギがそこ、その日に登ってきて……いや、俺らの水門(のおかげ)みたいになったんすよね。(感動した)」
「VRゴーグルかぶって、180°のYouTubeで滝とか森の動画を見てます、動画で。(デジタルデトックスとして)」
「デジタルデトックスするっていうのを忘れないように、今タスクリストに入れます。」
「デジタルデトックスをするっていうことをデジタルで思い出そうとしてるよ。ToDoリストに入れるがよろしい。落語みたい。」
📚 このテーマで紹介された本
- 庭の話(宇野常寛)
絶対的な「安全第一」のロジックが、人間の思考停止や不自由を生み出しているのかも?
孤独——アトツギは孤独なのか?
「孤独」と「孤立」と「寂しさ」は違う——おじさんが寂しいと言ってはいけない空気と、経営者特有の重圧。3人が正直に向き合った孤独論。
孤独は「状態」、寂しさは「感情」と切り分ける。経営者として肝心なところを一人で背負うから孤独だが、弱音を吐ける若手社員がいるから「寂しくはない」。
「おじさんが寂しいと言ってはいけない」という謎のバイアスに葛藤しつつも、実際に孤独と寂しさを強く感じるタイプ。アトツギは「自分が選んだわけではない社員の中に一人で入っていく」。
孤独だが1人でも楽しい。「孤独」と「孤立」を明確に分け——他者の目線が介在する「孤立」の方がヒリヒリして寂しいと分析する。
「おじさんって孤独感じたらあかんような気がしてて。西野カナとかを聞いて寂しくて震えるとか言ってたら……おじさんが寂しくて震えたらだいぶ気持ち悪くないですか?」
「勝手に周りの反応を自分の中に想定して、自分1人でなんかこう道化っぽい動きとかしてしまうのめっちゃあるなと思いました。」
📚 このテーマで紹介された本
- 居場所。(大﨑洋)
- パーティーが終わって、中年が始まる
- 責任の生成(國分功一郎・熊谷晋一郎)
人の心には家族にも開けさせない「第2の金庫」があり、その絶対的な孤独領域があるからこそ人は生きていけるのかも?
自由にも種類がある
スピノザの自由、ベルリンの消極的・積極的自由——「何の制約もない状態」は本当の自由なのか。ゴールの再定義から生まれる選択肢について。
スピノザの「自分の本来の力を十分に表現できている状態が自由」を支持。過去の制約(呪い)を物語として語り直すことで、強い自由(祝福)が発現すると考える。
制約の中で「ゴールを再定義する」ことで新しい選択肢が生まれ、それを主体的に選べる状態が自由。「積極的な自由には責任が伴う」。
自由とは「選択肢がたくさん広がり、そこから選び取れる状態」。ただし——選び取った瞬間に自由はなくなる。
「スピノザ的自由って……そもそも生き物って、その魚が自由にするってことが空を飛ぶってことじゃないみたいな話で(自らの力の表現をすることが自由)。」
「自由って、ゴールを再定義した時に生まれるのかなって。」
「選択肢がたくさんある状態と選び取るまでは自由なんだけど、選択肢を選び取った瞬間そこに自由はなくなりますもんね。」
📚 このテーマで紹介された本
- はじめてのスピノザ(國分功一郎)
- 自由からの逃走(エーリヒ・フロム)
- 嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健)
- 夜と霧(ヴィクトール・E・フランクル)
- 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)
何の制約もない状態は本当の自由ではなく、適切な「制約」があるからこそ創造的で自由な形が生まれるのかも?
忘却
人の顔が覚えられない、名前が出てこない——それは失礼なのか、脳のリソース配分なのか、成長の証なのか。3人の忘却論。
人の顔と名前が覚えられないのは「知識や概念の方に脳のリソースを割いているから」とドライに自己分析。死という最大の不確実性を忘れるからこそ、大きなチャレンジができると語る。
記憶力が悪く人の顔を忘れることに強い罪悪感を抱く。「相手を重要だと思っていないと伝わってしまう」。一方で、諦めがつく(納得できる)失敗は自然と忘れられると考える。
心が動いたことをリスト化してAIにリマインドさせる。後で読み返すと「なぜこれを大事だと思ったかピンとこない」——でもそれは成長・更新の証だと肯定的に受け入れる。
「成長なのかわからんけど、更新はされてってるよね。大人になったってそういうことなんだろうな。」
📚 このテーマで紹介された本
- 生きるということ(エーリヒ・フロム)
- 明日死ぬ幸福の王子(飲茶)
- わたしを離さないで(カズオ・イシグロ)
- 二十億光年の孤独(谷川俊太郎・詩)
「忘れたくないこと」を忘れるのは、記憶の衰えではなく、過去の課題を乗り越えた「成長」や「更新」の証なのかも?
AI
生成AIが普及する時代に、後継ぎ経営者3人はAIをどう使い、どう考えているか。「AIに褒めるなと言った」「人類の平均値がアホなら……」。
制御工学出身でAIのアプローチに驚きと憧れを持つ。AIを「対話相手」として思考の整理に使っている。「問いを立てる」という最初の地点は人間にしかできないと考える。
様々なAIサービスを実務実装済み。「もっともらしいが説明できない答え(ブラックボックス)」を人間がどう編集するかが価値になる。AIが効率化するほど「手仕事の揺らぎ」の価値が高まると確信。
AIは「関係ないものを結びつけるクリエイティブジャンプ」が得意だと評価。AIで代替可能になる時代だからこそ、代替されないビジネスモデルの構築に注力している。
「(AIは)人類の平均値がアホやったらアホなことしか言ってこないはずなんすよね。」
「(AIに)お前やめろと。気持ち悪いから褒めるなと言ってた。」
「バナナに何か調味料かけましょうみたいなとこに、なんかAIって全部試せるわけですよ。醤油、味噌とか。」
「論理的に考えても、結構ホワイトカラー目指すより包丁職人目指した方が皆さん良くないですか?」
📚 このテーマで紹介された本
- 人工知能は人間を超えるか(松尾豊)
AIが最適化を進めるほど、その場の環境に応じる「高度な手仕事」の価値が逆転して高まるのでは?
旅
旅か、旅行か、観光か——田中の「旅は不確実性に会いに行くもの」という定義。高田の南米修羅場。乘冨の「会社を観光地にする」という逆転の発想。
旅の目的は「自分の常識が変わるような体験(不確実性)をしにいくこと」。観光地(柳川市)で事業をしているため「観光客を呼び込む側」の視点も持つ。
「旅は不確実性に会いに行くもの、観光は見たいもの(ニーズ)を見るもの」と明確に定義。経営者が外に出ることは新しい視点を会社に持ち帰るために重要。帰国後に一番食べたかったのは「王将」。
大学生時代に10ヶ月かけて世界一周。南米で睡眠薬を盛られて道端で寝かされたり、ナイフ強盗にタックルして切り抜けたり。「旅が日常になってしまうから、人生のスパイス程度がいい」。
「旅は「不確実性」に会いに行くやつで、観光は「見たいもの(ニーズ)」を見るもんなんじゃないですか。」
「(長期海外帰りに)1番食いたかったん、ご飯と味噌汁とかじゃなくて王将でした。」
「睡眠薬飲まされて気づいたら道端で寝てるとか……ナイフは何回かあるんですけど……もう1回は強行突破でタックルしたらなんとかなりましたね。」
📚 このテーマで紹介された本
- 深夜特急(沢木耕太郎)
- おくのほそ道(松尾芭蕉)
「旅(不確実性)」と「観光(ニーズ充足)」の違いを意識するだけで、自分たちの会社や地域を「訪れるべき場所」にする視点が生まれるのでは?
音楽
音楽遍歴はその人の「人となり」を映す鏡——初めて買ったCDは「めざせポケモンマスター」、あだ名は「ぴろぞー」、レッチリなら4時間話せる。
初めて買ったCDは「めざせポケモンマスター」。大学でthe pillowsに出会い布教しまくり、あだ名が「ぴろぞー」に。「オーセンティシティ(本物らしさ)は魂の叫びを体現しているかどうか」。
FM802の無料フェスに実家のFAXから50枚応募(全部外れた)。レッチリのベース・フリーに憧れてバンド活動へ。「10万人の前でフルチンになって怒られないのはフリーだけ」。「あと4時間話せる」と豪語。
大学時代はロックDJを主催し、まだ売れていないバンドをディグることに喜びを感じていた(Mrs. GREEN APPLEなど)。現在は音数が少ないアンビエントを好む。分析的・構造的に音楽を捉える。
「初めて買ったCDは『めざせポケモンマスター』です。」
「10万人の前でフルチンになって怒られないのはフリー(レッチリのベーシスト)だけやって言われてんですけど。……たまにはあの、ちんちんに靴下とかつけたりも……」
「空気の揺らぎが綺麗になるようにデザインされてるのが僕らが聞いてる音楽なんですよね。だから空気の流れを綺麗につなげたものが生物の生育に影響がないわけないなと思って。」
📚 このテーマで紹介された本
- MITマサチューセッツ工科大学 音楽の授業(菅野恵理子)
- あなたがその曲を好きなわけ(スーザン・ロジャース)
テクノロジーが完璧に表現できる時代だからこそ、逆にアナログなゆらぎや「オーセンティシティ(本物らしさ)」の価値が高まるのでは?
数
KPI・売上・決算書——数字はバックミラーか、それとも檻か。経営者として数字とどう向き合うか、3人のスタンスが明確に分かれた。
現場にKPIを追わせるのは違うと考える。「数字(黒字)は、意味価値を生む活動を持続するためのサイコロを振る回数にすぎない」。焚き火やイベントのための体力として数字を捉える。
「数字はバックミラー。前を見て走るものではない」。KPIの奴隷になり目的と手段が入れ替わることを強く危惧。一方で決算書という共通言語の発明をすごい発明だと感動している。
現場が迷いなく走れるように、分かりやすい1つのKPIを設定すべきという立場。「数字を追う短距離走的なゲーム性」が現場のストレスを減らすと考える。
「数字はバックミラー的な使い方をする。スピードメーター見た時に『あ、150km出てる、危ない危ない』みたいな、そういう時に数字を使うのがちょうどいい。」
「経営者だけが結果にコミットをして、現場の人たちはただただ目の前に進みたい方向に進んでいたら、それが結果的に売上だったりお給料を上げる状態を作るのが経営者なんじゃないか。」
「決算書っていうフォーマットに落とし込んだ瞬間、みんなちゃんと(異業種でも)会話できるのめっちゃおもろいなと思って。すごい発明なんやなと思った。」
📚 このテーマで紹介された本
- 数の発明(ケイレブ・エヴェレット)
- ピダハン(ダニエル・エヴェレット)
- モモ(ミヒャエル・エンデ)
数字(KPI)は前を見て走る目的ではなく、進捗を確認する「バックミラー」として使うのがちょうどいいのかも?
暇と退屈
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』をベースに——なぜ人は何もしないことに耐えられないのか。「浪費を広めたいのに消費を煽らないと事業が続かない」矛盾。
造船所時代にこの本に出会い「人生が変わった(推し本)」と語る。「意味もなくキャンプ用品を作ったり焚き火をしたりする目的のない気晴らし(浪費)こそが人間らしさの回復」と、経営の根幹にこの思想を置く。
「消費を喚起できなければ事業が続かないが、それは塩水を飲ませてさらに喉を乾かせるようなもの」。企業はその消費のエネルギーをソーシャルグッドへ駆動させるべきだと主張。
「暇を享受すること」を情報過多への防衛手段として捉える。「人間が定住生活を始めたのは最近だから、片付けられないとか太りやすいとかのバグも肯定的に受け入れられるようになった」。
「キャンプってすごい浪費的な側面がある趣味なのかもしれないよね。満足が来ちゃうっていう。(だから資本主義的にやるのは難しい)」
「消費を喚起できなければならないみたいな(風潮)。でもそれはなんか、塩水を飲ませてるようなもんで、さらに喉を乾かせるために努力をしましょうって言ってる。」
「人生って、暇つぶしてるだけ、気晴らししてるだけなんじゃなかったっけみたいな。」
「人間はすっごい長い歴史持ってる中で、定住生活を始めたのってなんかめちゃくちゃ最近の話……僕らが持ってる歪みたいなのは大体定住生活によって生み出されてるって思ったら、なんか自分を肯定的に受け入れられるようになった。」
📚 このテーマで紹介された本
- 暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
- 愛するということ(エーリヒ・フロム)
- 目的への抵抗(國分功一郎)
消費のエネルギーを地球環境などの「ソーシャルグッド」へ駆動させることが、これからの倫理的な資本主義のあり方なのでは?
贈与
近内悠太『世界は贈与でできている』をベースに——見返りを求めない行為の正体。70年間の無料包丁研ぎ。水門と柳川の治水。ソーシャルグッドはセルフケアか?
柳川の水路(堀割)が水害の86%を防いでいたというシミュレーション結果を知り、名もなき先人の「贈与」に深い感謝を抱いた。「ソーシャルグッドな活動の原動力は自身の傷を癒やすセルフケアでは?」と鋭く指摘。
自社が70年間続けてきた「無料の包丁研ぎチケット」が、実は圧倒的な「信頼貯金」になっていたと気づく。「誰も気づかないアンサングな贈与を掘り起こして社会に提示することがブランディング」という独自の視点。
NPOなどの「余裕がない中で贈与の仕組みを作る人」の原動力がセルフケアであるという乘冨の意見に強く共感(ヘラルボニーの例)。少額の寄付(マイクロな贈与)を日常に取り入れている。
「(チョンキンマンションの引用で)金儲けを仲間や贈与を回していくための手段にする——金儲けこそが社会を作る遊びなのだ。」
「贈与という文化資産みたいなものを今後の売上に変えていく取り組みのことを「ブランディング」っていうのかもしんないですよね。」
📚 このテーマで紹介された本
- 世界は贈与でできている(近内悠太)
- チョンキンマンションのボスは知っている(小川さやか)
- カウンセリングとは何か(東畑開人)
社会のために身を粉にする活動の原動力は、実は「自分自身の過去の傷を癒やすためのセルフケア」なのかも?
〈番外編〉漏れ出す哲学的雑談
意図せず漏れ出てしまった自分——水門の「漏れ」はエラーではなくウナギの通り道。隠しきれない個性、才能、そして哲学。
「漏れ」は一般的にエラーだが、水門の隙間からウナギが遡上する——「ウナギの視点からすればその『漏れ』はポジティブなことなんですよね」。意図しない余白にこそ生態系が育まれる。
「自分の内面を人に話しやすいタイプ」と自覚。レッチリの破天荒エピソードから自己開示力の分析に繋がる謎の展開——思考が漏れ出す瞬間がもっとも田中らしい。
「バックナンバーを聞いたら大学の時の失恋を思い出す」——急に甘酸っぱい一面がこぼれ出る。ストイックに見えて、こういう瞬間に人間臭さが「漏れ出る」。
「昔の木の水門の時はそっからウナギの稚魚とかもこう抜けてって生態系が維持されてた……ウナギの視点からすればその「漏れ」っていうのはネガティブじゃなくて良きことなんですよね。」
「バックナンバーを聞いたら、大学の時の失恋を思い出す。」
「努力はひねり出すもの」だが、「才能は漏れ出すもの」なのでは? 意図せず漏れ出てしまった自分を、他者がそのまま受け入れてくれた時——それが究極の心理的安全性なのかも。
食 — あなたは食べたものでできている
水、土、文化——食は地政学であり、人類学であり、哲学だ。タイパ重視の時代に「自炊する」ことの意味、そしてAIが普及するこれからの時代に「職人」と「料理人」の手仕事が持つ価値を問い直す。
飲み会がない日は自炊率ほぼ100%。美味しさより「どうやったら面白く美味しくなるか」を考える心の充足を優先する。水門職人の全身を使った非言語的な手仕事を目の当たりにして「AIに代替されるのはホワイトカラーの自分の方が先だ」と確信。「大人になるとは自分が自分の世話係になること」という言葉に深く共鳴し、料理をセルフケアとして捉えている。
日本の軟水が昆布出汁(油を使わない旨味)を育み、ヨーロッパの硬水が獣肉の臭みを消すブイヨンを生んだ——地政学的制約(テロワール)が独自の食文化を形成したと構造的に分析する。包丁屋3代目として「食文化と道具文化の価値を世界に伝えること」を使命と位置づけ、AIが普及する時代に日本の食・職人技こそが世界と戦える武器だと確信している。
大航海時代によるトマトやジャガイモの伝播、消化器官の外部化としての料理の誕生、味覚が「生存のためのセンサー」に過ぎないという事実など、人類学・科学的視点から食を俯瞰する。星付きレストランからフードコートのカオスまで、多様な食の価値観が並存することが豊かさだと考えている。
「僕が機械化される方が先だぞって思ったもんね。」
「日本の産業で、めちゃくちゃ世界と戦っていける産業ってそんな多いですかね?食とサブカルぐらいしかないのかもなと思って。」
「人間と猿の違いは、集団でご飯を食べるのが人間で、1人で隠れて食べるのが猿。」
📚 このテーマで紹介された本
- 自分のために料理を作る(土井善晴・中島岳志)
AIが論理的タスクを代替するこれからの時代こそ、現場の環境変化を五感で感じ取る「料理人」や「職人」の非言語の手仕事の価値が、ホワイトカラーを逆転して高まっていくのかも?
ポスト資本主義 — 意味価値と社会彫刻
資本主義の限界が指摘される時代、アトツギ経営者はどう事業を営むべきか。AIが効率化を極めるからこそ高まる「手仕事」と「意味価値」、ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」、そして家業を超えた「ロングターミズム」を語る。
水門という「機能」しかない業界だからこそ、自然と人を調停する「意味価値」を見出して独走できた。儲かるからではなく、やりたいこと(社員や地域が幸せになること)を成立させるためにビジネスの算盤を弾く逆算アプローチ。大きすぎる「社会彫刻」ではなく、自分の鑿の跡が見える「地域彫刻」を目指す。アレクサンドロスのように「歴史や良い影響」を後世に繋ぐ究極のロングターミズム。
機能と意味は分けられず、ゴールを再設定した瞬間に意味が生まれると分析。日本の非合理な手仕事が、AI時代だからこそ欧米から「クール」と評価される実感を持つ。資本主義を全否定せず、その恩恵を認めた上で、どうソフトランディングさせるか、余ったお金や時間を何に「投票」させるかを考えるべきだと現実的に語る。
アパレルは機能以外を「記号」で消費させる産業だというボードリヤールの理論に共感し、消費社会のジレンマと向き合う。物理的に残る水門(乘冨)を羨ましく思いつつ、サステナブルな素材選択など「届け手としての思想」を社会に彫刻していく役割に自らのアイデンティティを見出している。
「社会彫刻はでかすぎるから、僕は『地域彫刻』をやりたい。地域なら自分の打った鑿の跡が見えるから。」
「資本主義を否定するのは、反抗期の子供が未来について語ってるみたいなもの。」
「ボードリヤール的に言えば、洋服の機能なんて隠すだけで、あとは『記号』で買っているだけ。」
📚 このテーマで紹介された本
- 人新世の「資本論」(斎藤幸平)
- ゼロからの『資本論』(斎藤幸平)
- ポスト資本主義(広井良典)
- ブルシット・ジョブ(デヴィッド・グレーバー)
- 資本主義の終焉と歴史の危機(水野和夫)
- ヨーゼフ・ボイス——よみがえる革命(若林直樹)
これからのアトツギの役割は、血筋で家業を存続させることではなく、自分が成したことが「歴史」や「ミーム」として後世に繋がり、人類や社会に良い影響を与え続けることなのかも?
豊かさ
「豊かさとは何か」——多様性、定量の罠、余剰と非合理。タイパ全盛の時代に、3人のアトツギが「セロトニン的幸福」「8割の合理と2割の非合理」「遅れてやってくる豊かさ」から、その正体を掘り下げる。
豊かさの源泉を「自然との営み」と「必要に迫られていない余剰の時間」に見出す。100%の合理を求めるのではなく「8割の合理性の中に、いかに非合理(遊びや無駄)を抱え込めるか」が企業の懐の深さであり豊かさだと考える。柳川の堀割という足元の当たり前の水システムが、実は世界レベルで圧倒的に豊かだったと気づいた。
豊かさを「違いを1個1個区別して認識できること(多様性の解像度)」と定義。一方で「老後2000万円問題」のようにすべてを数字で測ろうとする『定量の罠』が人の心を貧しくすると危惧する。数字に頼らず、PR(合意形成の技術)を使って非合理な豊かさを社会に届けるアプローチを重視。
インフレ経済下では最低限の生活を担保する「生存可能性(お金・分散投資)」が豊かさの土台だという現実的な視点を持つ。その一方で「効率から離れて過ごす時間」や「今あるものに満足するセロトニン的な幸福」も強く重視し、定量の奴隷にならず自分をケアする時間の必要性を語る。
「8割の合理の中に、どんだけ非合理を抱え込めるかみたいな。そこが勝負かなと思ってる。」
「『多様』の『様』は用途のこと。集合をちゃんと1個1個区別して認識している状態が、豊かに生きていくコツかもなと思った。」
「豊かさってドーパミンとセロトニンで言うと、セロトニンなんだろうな。」
📚 このテーマで紹介された本
- 僕たちは伝統とどう生きるのか(小倉ヒラク)
- 世界は贈与でできている(近内悠太)
- 一汁一菜でよいという提案(土井善晴)
本当の豊かさとは、リアルタイムで感じられるものではなく、後になって点と線が繋がり「あれは豊かだったんだ」と素朴に気づく、贈与に似た「遅延性」を持つものなのかも?
〈番外編〉缶と、余白の経営
特別ゲストに側島製罐(愛知・創業120年)の6代目・石川貴也さんを迎えた番外編。今回は経営ではなく「本」と「人文」。年間100冊の読書、ファンタジーがくれる視点、缶という“空っぽの器”と余白、そして120周年の「社史」を世に開くという挑戦——乘冨と石川、二人だけの対話。
同世代の経営者と「正解のない時代をもがく」感覚を分かち合う。石川さんの誠実な経営の美学を尊敬しつつ、自分は「何もない自分を受け入れる」東洋思想的なスタンスを好む。石川さんの社史出版を“歴史の語り直し”と捉え、水門屋を“メタルクリエイター”と再定義した自社の営みと重ねる。
ビジネス書より小説・ファンタジーを読む。日常の前提を外し、言葉を磨くための読書。完全無欠のヒーローより、弱さや葛藤を抱えて進む姿に美しさを感じる。120年の歴史を棚卸しし、缶という製品の奥行きを「社史」として誰にでも開くことが、新しい出会いとイノベーションを生むと信じる。
「弱さを“ないもの”とするより、受け入れる。受け入れて、その上でどうするか。」
「ハンターハンターみたいに、絶対的な悪を倒す単純な話じゃなくて、もがきながら“正解らしきもの”を仮に掴んでいく。会社経営も、自然とそうなってる気がするんですよね。」
「器って、何かを入れる入れ物だった。それが蓋をして中が見えなくなったことで、神秘性が一気に高まった。」
「他の人の3倍勉強して、ようやく人と同じくらいのテストの点が取れる感じです。」
📚 このテーマで紹介された本
- 冒険する組織のつくり方(安斎勇樹)
- アルケミスト(パウロ・コエーリョ)
- 白(原研哉)
- 暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
- 中動態の世界(國分功一郎)
- はてしない青(フランスの小説)
👤 ゲスト・石川貴也(側島製罐 6代目)
1986年名古屋生まれ。新卒で日本政策金融公庫、内閣官房への出向など約10年の中小企業支援を経て、2020年に家業・側島製罐(愛知/創業120年・菓子や蚊取り線香などのパッケージ缶を製造)へ。「宝物を託される人になろう」を掲げ、Forbes JAPAN Small Giants Award『LOVED COMPANY(愛される会社)賞』を受賞。
閉じてきた業界を“社史”として外へ開く——その語り直しは、水門屋を“メタルクリエイター”と呼び直すのと、同じ編集の魔法なのかもしれない。
漫画 — 幼少期のコミックは、人格をつくるのか
「幼少期に読んだ漫画は、音楽より人格に影響しているのでは?」——3人が自分の漫画遍歴を棚卸しする“コミック・エスノグラフィー”から出発。モラトリアム期のサブカル消費、漫画・アニメ・ショート動画というメディアが変える認知、そして「オタク(データベース消費)」から「推し活」への時代の変容までを、全4話で語り尽くした。
教育熱心な家庭で数少ない解放区だった『ドラえもん』、中学で出会った『シャーマンキング』麻倉葉の佇まいに憧れ、東洋思想的な世界観を自分のルーツと見出す。大学の“サブカルこじらせ”も含めて思考のベースは今も変わらないと認めつつ、非合理・余白・手仕事の不確定性を経営や試作に取り込む。大きな物語が消えた現代の「ミクロな推し活」に可能性を感じている。
『コミックボンボン』や手塚治虫をルーツに、時代背景・地政学・歴史がメディア消費と文化形成に与える影響を構造的に分析する。漫画とアニメの情報量や時間の使い方の違いに自覚的で、資本主義の“交換経済”と推し活の“物語・プロセスの共有”を対比。自社の包丁研ぎや歴史活用と同じく、愛着と共感で成り立つミクロなコミュニティの豊かさを説く。
『コロコロ』『遊戯王』『ドラゴンボール』『三国志』を王道で通過し、論理的なデッキ構築と多読を好む。受動的なアニメより、自分のペースで解釈の余地(空白)を補完できる“漫画”の能動性を圧倒的に支持。興味が細分化する時代でも、ゼロサムでない相互の応援(推し活・『メダリスト』的世界観)に新しい時代の希望を見る。
「『ハンターハンター』と浅野いにおが好きだった、あの頃の俺のまんま。」
「お前の趣味のやつ、大体ヴィレヴァンにあるやろ?って言われて……。」
「集中力が持たないんですよ、アニメは。つい携帯とか見ちゃう。」
「うちらの子ども世代も『コロコロ』読んでる。俺らが読んでた時と同じもん読んでんや、って。」
「僕、死んだらあのAIボットに相談してほしいですね。考えてること、ほぼ全部インプットされてるから。」
📚 このテーマで紹介された本
- 動物化するポストモダン(東浩紀)
- イン・ザ・メガチャーチ(朝井リョウ)
- エンタメビジネス全史
- シャーマンキング(武井宏之・漫画)
- ドラえもん(藤子・F・不二雄・漫画)
- ブッダ/火の鳥(手塚治虫・漫画)
- HUNTER×HUNTER(冨樫義博・漫画)
- 遊☆戯☆王(高橋和希・漫画)
- おやすみプンプン(浅野いにお・漫画)
- 進撃の巨人(諫山創・漫画)
- チェンソーマン(藤本タツキ・漫画)
- 推しの子(赤坂アカ/横槍メンゴ・漫画)
- メダリスト(つるまいかだ・漫画)
メディアの消費スタイルが変わっても、人は結局「自分を使い切るための物語」と「手触りのある関係性」を求め続けている——オタクの“解釈の余地”が、SNS時代の“推し活・プロセスの応援”へと形を変えただけなのかもしれない。
Meigen & Meigen
名言・迷言コレクション
「社長の言葉って、社員からすると校長先生の話。いくらいいことを言っても通り抜けていく。」
「おじさんが寂しくて震えたら、だいぶ気持ち悪くないですか?」
「選択肢がたくさんある状態と選び取るまでは自由なんだけど、選択肢を選び取った瞬間そこに自由はなくなりますもんね。」
「最近カスタードとか作って常備してますからね。」
「俺、仕事の中で遊ぶのは得意だけど、遊びの中で仕事すんの苦手ですわ。」
「VRゴーグルかぶって、180°のYouTubeで滝とか森の動画を見てます。」
「初めて買ったCDは『めざせポケモンマスター』です。」
「娘がおままごとしてる時、『ちょっと待って。今仕事してるから』とか言われるんですよ。あ、こう見えてんねや。」
「アイデンティティ・ミーハー。」
「東洋思想と西洋思想をパワポにして、1時間ぐらいの長大な資料を作って新入社員をポカンとさせるってやつをやりました。」
「1番食いたかったん、ご飯と味噌汁とかじゃなくて王将でした。」
「(ディズニーでミッキーの耳は)僕、捨てきれないです。僕を。」
「(安全第一について)管理されたいんですよね、多分僕たち日本人は」
「数字はバックミラー的な使い方をする。スピードメーター見た時に『あ、150km出てる、危ない危ない』みたいな。」
「バックナンバーを聞いたら、大学の時の失恋を思い出す」
「オープン・ザ・ゲートが弊社のビジョンでございます。だから、閉める(水門)のに開けてる——ガバガバにしてるっていう。」
「(AIは)人類の平均値がアホやったらアホなことしか言ってこないはずなんすよね。」
「睡眠薬飲まされて気づいたら道端で寝てるとか……ナイフは何回かある。」
「僕が機械化される方が先だぞって思ったもんね。」
「旅は『不確実性』に会いに行くやつで、観光は『見たいもの(ニーズ)』を見るもんなんじゃないですか。」
「人生って、暇つぶしてるだけ、気晴らししてるだけなんじゃなかったっけみたいな。」
「社会彫刻はでかすぎるから、僕は『地域彫刻』をやりたい。地域なら自分の打った鑿(のみ)の跡が見えるから。」
「本読んでるとキモくなっていくんだって。1回なんかキモいノリになるみたいな。」
「ボードリヤール的に言えば、洋服の機能なんて隠すだけで、あとは『記号』で買っているだけ。」
「アレクサンドロスみたいに、自分の王国は繋がなくても歴史は繋ぐ方がいい。極論、自分の会社がなくなっても自分がやったことで社会が良くなればそれでいい。」
「(AIに)お前やめろと。気持ち悪いから褒めるなと言ってた。」
「日経新聞を読む時間があったら、他のことに時間を使った方が効率がいいんじゃないか(笑)。」
「会社を、関わる人がずっとプラスの影響を受け続けるような『生き物』にしたい。」
「日本の産業で、めちゃくちゃ世界と戦っていける産業ってそんな多いですかね?食とサブカルぐらいしかないのかもなと思って。」
「儲かるようになっちゃったら、豊かさの議論をするのが難しくなるっていう皮肉ですね。」
「8割の合理の中に、どんだけ非合理を抱え込めるかみたいな。そこが勝負かなと思ってる。」
「機能と意味は分けられるものではなく、ゴールを再設定した瞬間に意味が追加されていく。」
「豊かさってドーパミンとセロトニンで言うと、セロトニンなんだろうな。」
「豊かさって、生存不可能なものに追いまくられないとか、確実に必要なもの以外のものに目を向ける時間のことなのかな。」
「資本主義を否定するのは、反抗期の子供が未来について語ってるみたいなもの。資本主義がなかったら今の人口はなくて、自分も生まれてなかったかもしれない。」
「類人猿の研究者いわく、人間と猿の違いは、集団でご飯を食べるのが人間、1人で隠れて食べるのが猿。」
「僕が機械化される方が先だぞって思ったもんね。」
「日経新聞読んでます、っていうことに違和感を感じるようになってしまった。」
「ボードリヤール的に言えば、洋服の機能なんて隠すだけで、あとは『記号』で買っているだけだよね。」
「社会彫刻はでかすぎるから、僕は『地域彫刻』をやりたい。地域なら自分の打った鑿の跡が見えるから。」
「豊かさって、豊かだったんだって後になって素朴に気づくものなのかなって。」
「10ヶ月も旅行してると旅が日常になっちゃうんで……旅って、人生のスパイスなんじゃないかな。」
「自分の会社がなくなったとしても、自分がやったことで社会が良くなるってことが実現できたら、俺は満足かな。」
「『多様』の『様』は用途のこと。集合をちゃんと1個1個区別して認識している状態が、豊かに生きていくコツかもなと思った。」
「結局、人生って自分が何者なのかを探す旅だとも思ってるので。」
「Claude Codeで作ってみたらすごい楽しくなっちゃって。……でもみんなあんまりリアクションが薄いんですけど。」
「機能と意味って実はあまり分けられるものでなくて、ゴールを再設定することが、機能と意味を新しく生むんじゃないか。」
「受け取る情報量を減らすとか、暇を享受するみたいな方向の方が、僕は好きかもしれないな。」
「脳みそを倉庫みたいに使うと知識でいっぱいになるんやけど、工場みたいに捉えた方がいい。」
「日経新聞読んでます、っていうことに違和感を感じるようになってしまった。」
「多様であろうとすると絶対に摩擦は起こるから、ぶつかることは悪いことじゃない。」
「ハンターハンターみたいに、絶対的な悪を倒す単純な話じゃなくて、もがきながら“正解らしきもの”を仮に掴んでいく。会社経営も、自然とそうなってる気がするんですよね。」
「自由って、ゴールを再定義した時に生まれるのかなって。」
「音楽って聞けば聞くほど掘れるじゃないですか、永遠に。マイナーなバンドにどんどん寄っていける。」
「人のせいにはしない。でも自分にできることには限りがある。“なるようになるさ”の割合が、たぶん石川さんより大きいんだと思う。」
「本って、唯一邪魔されずに自分のペースで理解できるメディアやと思ったんですよ。」
「集中力が持たないんですよ、アニメは。つい携帯とか見ちゃう。」
「『ハンターハンター』と浅野いにおが好きだった、あの頃の俺のまんま。」
「和を大事にすることと、摩擦を恐れることは、実は結構違うことなんだろうな。」
「僕、死んだらあのAIボットに相談してほしいですね。考えてること、ほぼ全部インプットされてるから。」
「アンサング(讃えられない)であるってことは、資本主義=交換経済の中ではすごく難しいですよね。」
「日本はカラオケ文化があったから、みんなで歌って楽しい曲が人気になりやすくて、音数が詰まった曲が多いのかな。」
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